ボイラー及び第一種圧力容器の整備の作業にに使用する器材、薬品等に関する知識
ボイラーの機械的清浄作業に使用する機械、器具及び工具
チュープクリーナは、胴内や水管内部のスケールやさびの除去に使用する機械で、本体、フレキシブルシャフト及びへッドで構成されている。
LGブラシは、チューブクリーナに取り付けて、胴内の硬質スケールを除去するときに使用する。
細管用カッタは、チューブクリーナに取り付けて、細い直管や細いゆるやかな曲管の硬質スケールを除去するときに使用する。
平形ブラシは、チューブクリーナに取り付けて、ドラム内面に付着した軟質スケールなどを除去するときに使用する。
ハンマへッドは、チューブクリーナに取り付けて、胴内の硬質スケールを除去するときに使用する。
ワイヤホイルは、チューブクリーナに取り付けて、外部清掃や胴内の軟泥などの清掃に使用する。
ワイヤブラシは、清掃用手工具で、胴内、煙管内部や機械器具による清浄作業ができない部分に使用する。
穂ブラシは、チューブクリーナに取り付ける工具で、軟質スケールを除去するために使用する。
スクレッパは、小形の清掃用手工具で、硬質スケールを除去するときは刃先の鋭いものを使用する。
ボイラーの整備の作業に使用する照明器具
燃焼室や煙道の内部では、防爆構造で、ガードを取り付けた照明器具を使用する。
燃焼室やドラムの内部では、移動電線として絶縁の完全なキャブタイヤケーブルを使用する。
狭い場所で使用する照明器具の配線は、できるだけ他の配線との交差や錯縁が生じないようにする。
作業場所の照明は、全般的に明暗の差が著しくなく、通常の状態でまぶしくないようにする。
燃焼室やドラムの内部で使用する照明器具のコンセント接続部には、漏電遮断器を取り付ける。
コードリールを長時間使用するときは、コードをコードリールに巻いたままとせず延ばして使用する。
作業場所の照明は、全般的に明暗の差が著しくなく、通常の状態でまぶしくないようにする。
狭い場所で使用する照明器具の配線は、できるだけ他の配線との交差や錯議が生じないようにする。
ボイラーの炉壁材
不定形耐火物
任意の形状に施工することができ、また、継目なしの1枚壁を作ることができる。
キャスタブル耐火物とプラスチック耐火物があり、いずれも耐火度及び強度が高く、成形れんがで施工しにくい箇所に用いられる。
プラスチック耐火物
燃焼室内壁など高熱火炎にさらされる箇所に多く用いられる。
ハンマやランマーでたたき込んで壁を作る。
湿気を与え、乾燥しないようにして保存する。
キャスタブル耐火物
水を加えて練り、型枠内に流し込み成形するか、ラスなどにこて塗りや吹き付けを行って壁を作る。
湿気を吸わせないようにして保存する。
高熱火炎にさらされない箇所に多く用いられる。
耐火断熱れんが
断熱性は高いが強度が低く、耐火れんがとケーシングとの間の断熱材として用いられる。
粘土質耐火れんがと高アルミナ質耐火れんががあり、高アルミナ質耐火れんがは、粘土質耐火れんがより耐火度及び高温での耐荷重性が高い。
普通れんが
耐荷重性が高いが耐火度が低く、外だきボイラーの築炉の外装などに用いる。
セメントモルタル
普通れんがの目地に用いられ、耐火モルタルは耐火れんが及び耐火断熱れんがの目地に用いられる。
保温材
内部の気泡や気層の状態と量によって保温力が定まるが、一般に密度が小さいほど保温力が大きい。
内部に気泡や気層を含み、その状態と量によって保温力が定まるが、一般に、密度が小さいほど保温力が大きい。
発泡プラスチック保温材
使用温度は、フェノールフォームの方がポリスチレンフォームより高い。
ポリスチレンフォームやフェノールフォームなどがあり、使用温度は、フェノールフォームの方がポリスチレンフォームより高い。
ガスケット及びパッキン
パッキンはポンプのような運動部分の密封に用いられ、ガスケットはフランジのような静止部分の密封に用いられる。
パッキンには、編組パッキン、モールドパッキン、メタルパッキンなどがある。
パッキンには、動物、植物、鉱物などの繊維又は合成繊維を角形や丸形に編んだものや金属線を用いたものがある。
金属ガスケット
高温高圧の蒸気やガスに用いられる。 パッキンには、編組パッキン、モールドパッキン、メタルパッキンなどがある。
リング状の金属の単体で、高温高圧の蒸気やガスに用いられる。
メタルジャケット形ガスケット
耐熱材料を金属で被覆したもので、高温の蒸気やガスに用いられる。
オイルシート
紙、ゼラチン、グリセリンなどを加工したもので、100℃以下の油に用いられる。
ゴムガスケット
ゴムのみ又はゴムの中心に木綿布が挿入されたもので、常温の水に用いられる。
ボイラーの化学洗浄用機器及び化学洗浄用薬品
薬液循環用タンクは、洗浄中に循環する薬液を受け、はく離したスケール、固形分などを分離するために用いられるもので、洗浄を行うボイラーの水容量の1/10以上の容量が望ましい。
薬液用タンク及び薬液循環用タンクには、蒸気式又は電気式の薬液加熱装置を設けることが望ましい。
薬液用ポンプは、薬液の供給及び循環のために用いられるもので、洗浄を行うボイラーを30〜60分以内に満水にできる程度の容量を標準とする。
薬液用ポンプは、酸液又はアルカリ溶液の供給及び循環に用いる。
薬液用タンクは、洗浄に必要な薬液の調合又は貯蔵のために用いられるもので、洗浄を行うボイラーの水容量以上の容量が望ましい。
薬液用タンク及び薬液循環用タンクには、蒸気式又は電気式の薬液加熱装置を設けることが望ましい。
ボイラー胴上部の開口部に設けるガス放出管は、主に酸洗浄の際に発生する水素を、室外の安全な場所に放出する。
化学洗浄用薬品の特徴
アンモニア
常温では刺激臭のある無色の気体で、水に溶けて弱アルカリ性のアンモニア水となり、銅スケールの溶解力が強い。
塩酸
塩化水素の水溶液で、シリカ系以外のスケール成分に対して溶解力が強く、スケールとの反応により生成する各種塩類の溶解度が大きい。
硫酸
洗浄剤として用いられるが、カルシウムを多く含むスケールの除去には適さない。
水酸化ナトリウム
中和剤として用いられるほか、潤化処理にも用いられる。
潮解性のある白色の固体で、水によく溶けて多量の熱を発生し、腐食性が強い強アルカリ性の水溶液となる。
くえん酸
構造上洗浄液の完全排出が困難なボイラーの洗浄剤として用いられる。
塩酸に比べて、スケールの溶解力は弱いが、残留しても腐食の危険性が小さい。
結晶体で、通常80~100℃の高温で用いられる。
ぎ酸
刺激臭のある無色の液体で、同族の他の有機酸より酸性が強く、また、還元作用がある。
同族の他の有機酸より酸性が強く、また、還元性があり、主に大型ボイラーの洗浄剤として用いられる。
水酸化カルシウム
消石灰ともいわれ、白色の粉末で、中和剤として用いられる。 水酸化ナトリウムは、水によく溶け、強アルカリ性で腐食性が強く、中和剤又は潤化剤として用いられる。
スルファミン酸
取扱いが容易な粉体で、カルシウム塩の溶解度が高く、洗浄剤として用いられる。