ボイラー及び第一種圧力容器の整備の作業に関する知識
問 1 次のAからEまでの物質について、ボイラーの燃焼室内部並びに煙管及び水管の高温ガス側の清浄作業において除去する対象物に該当するものの組合せとして、適切なものは(1)~(5)のうちどれか。
- クリンカ
- スケール
- 灰
- 未燃油
- 浮遊固体物
- A、B、C
- A、C、D
- A、D、E
- B、C、E
- B、D、E
燃焼室内部、高温ガス側の除去対象物は、クリンカ、灰、未燃油。
クリンカとは、ボイラ内での燃焼によって生じた灰の粒子が溶融固化し、ボイラ底部に落下した多孔質な灰の塊を粉砕したもの。
問 2 機械的清浄作業の準備としてのボイラーの冷却に関し、一般的な操作順序として、適切なものは(1)~(5)のうちどれか。
ただし、AからEまでは、それぞれ次の操作をいうものとする。
- ボイラーの圧力がなくなったことを確認し、空気抜き弁その他の気室部
の弁を開く。 - なるべく時間をかけて徐々に冷却する。
- ダンパを半開し、たき口及び空気入口を開き、自然通風する。
- 燃焼が停止していること及び燃料が燃え切っていることを確認する。
- 吹出しコック又は吹出し弁を開いてボイラー水を排出する。
- D → A → B → C → E
- D → A → C → B → E
- D → B → C → A → E
- D → C → A → B → E
- D → C → B → A → E
問 3 ボイラーの性能検査における水圧試験の準備及び水圧試験後の措置に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- 水圧試験の準備では、ねじ込み形の安全弁及び逃がし弁は、ねじ込み部から取り外してプラグで塞ぐ。
- 水圧試験では、ばね安全弁は水圧試験の設定圧力を超えた圧力で、ばねを締め付けて塞いではならない。
- 水圧試験の準備では、水圧試験用の圧力計は、ボイラー本体に直接取り付ける。
- 水圧試験の準備では、水を張る前に、空気抜き用止め弁を開き、他の止め弁を完全に閉止する。
- 水圧試験後、異状が認められないときは、圧力をできるだけ速く下げる。
水圧試験後、異状が認められない場合は、圧力をできるだけ徐々に降下させる。
問 4 ボイラーの機械的清浄作業及び化学洗浄作業における危害防止の措置に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- 化学洗浄作業においては、作業服は、ゴム製品、プラスチック製品など、耐薬品性のあるものを着用する。
- ボイラーの内部や煙道内に入る場合は、入る前に十分に換気を行うほか、必要に応じて作業中も換気を行う。
- 他のボイラーの吹出し管や安全弁からの突然の吹出しによる危険がないか確認する。
- ボイラーの内部や煙道内に入るときには、マンホールや出入口の外側に監視人を置く。
- 灰出し作業では、高所の熱灰をあらかじめ落としておくとともに、多量の水を一度に熱灰に散布して冷却する。
灰出し作業では、高所の熱灰をあらかじめ落としておくとともに、余熱が少なくなってから熱灰に適宜注水を行う。
問 5 ボイラーの化学洗浄作業における予備調査に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- 管系統図及び実地調査により配管系統を確認し、薬液の注入用、排出用及び循環用の配管並びに薬液用ポンプの仮設位置を決定する。
- 止め弁などの洗浄液が触れる部分の材質や表面処理の有無を調べる。
- 試料としてのスケールは、熱負荷が最も高い部分及びボイラー水の流れのよい部分から採取する。
- 試料として採取したスケールは、化学分析を行い、その成分及び性質を把握する。
- 洗浄作業は、被洗浄物内容積の5~20倍程度の量の水を必要とするため、水の使用可能量を調査する。
試料としてのスケールは、熱負荷が最も高い部分及びボイラー水の流れの悪い部分から採取する。
問 6 ボイラーの酸洗浄における腐食防止対策に関し、次の文中の 内に入れるAからCの語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
「[ A ]の濃度及び[ B ]に著しい差が生じると、[ C ]を形成し、腐食の原因となることから、これらが常に均一に保たれるように[ A ]の注入方法、循環方法、流速などに注意する。」
- A.酸液、B.温度、C.濃淡電池
- A.酸液、B.温度、C.残留応力
- A.酸液、B.pH値、C.残留応力
- A.中和液、B.pH値、C.残留応力
- A.中和液、B.温度、C.濃淡電池
酸液の濃度及び温度に著しい差が生じると、濃淡電池を形成し、腐食の原因となることから、これらが常に均一に保たれるように酸液の注入方法、循環方法、流速などに注意する
問 7 ボイラーの化学洗浄における中和防錆処理に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- 中和防錆処理は、酸洗い後、金属表面が活性化されて発錆しやすい状態になるので、再び使用するまでの間の発錆や腐食を防止するために行う。
- 中和防錆処理では、中和剤としてヒドラジンなどを用い、防錆剤としてアンモニアなどを用いる。
- 薬液循環による中和防錆処理を行うときは、薬液温度を 80~100℃に加熱昇温し、約2時間循環させる。
- 薬液による中和防錆処理としては、低燃焼で圧力を0.3~0.5MPaに上げて2時間保持する方法もある。
- 薬液循環による中和防錆処理を行うときは、薬液のpHを9~10に保持する。
中和防錆処理では、中和剤としてアンモニアなどを用い、防錆剤としてヒドラジンなどを用いる。
問 8 過熱器の点検及び整備の要領として、誤っているものは次のうちどれか。
- 過熱器管及び管寄せの内部に腐食や付着物がないか点検する。
- 過熱器管が貫通する部分の耐火材及びバッフルに損傷、割れや脱落がないか点検する。
- 過熱器管内にキャリオーバによるスケールの生成、過熱や焼損箇所がないか点検する。
- 管寄せの検査穴及び掃除穴などの蓋部の密封材は、点検後新しいものと取り替える。
- 過熱器用安全弁は、ボイラー本体の安全弁より後に作動するように調整する。
過熱器用安全弁は、ボイラー本体の安全弁より先に作動するように調整する。
問 9 燃料遮断弁に使用される電磁弁の点検及び整備の要領として、誤っているものは次のうちどれか。
- 電磁弁のコイルに通電したときの作動音によって、異常がないか点検する。
- 直流駆動コイルの電磁弁は、突入電流が大きいことを確認する。
- 分解できるプランジャや弁ディスクは、分解して摩耗粉などを清掃する。
- ガス弁は、出口側のガスを水中に放出して弁越し漏れがないか点検する。
- 電磁弁を配管に取り付けたときは、燃料の流れる方向と弁に表示された方向が一致していることを確認する。
交流駆動のコイルの電磁弁は、動作時のうなりが大きくないか点検する。
問10 重油燃焼装置の油圧噴霧式オイルバーナ及び油タンクの点検及び整備の要領として、誤っているものは次のうちどれか。
- 燃焼停止時に、バーナガンを取り外し、ノズル先端を冷却してから洗い油につける。
- バーナのノズル先端に付着した未燃油やカーボンは、柔らかい布で拭き取る。
- バーナのノズルは、縁にきずがあるときや縁が摩耗して丸みを帯びているときには交換する。
- 油タンクを清掃するときは、残油を全部抜き取り、油タンクの底部にたまっているスラッジを、界面活性剤で溶かしてポンプでくみ取る。
- 油タンクの内部で使用する照明器具には、防爆用移動電灯などの防爆構造のものを用いる。
燃焼停止時に、バーナガンを取り外し、ノズル先端が熱いうちに洗い油に浸す。
ボイラー及び第一種圧力容器の整備の作業に使用する器材、薬品等に関する知識
問11 ボイラーの機械的清浄作業に使用する機械、器具及び工具に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- チューブクリーナは、胴内や水管内部のスケールやさびの除去に使用する機械で、本体、フレキシブルシャフト及びヘッドにより構成されている。
- ハンマヘッドは、チューブクリーナに取り付けて、胴内の硬質スケールを除去するときに使用する。
- ワイヤホイルは、チューブクリーナに取り付けて、水管内面に付着した硬質スケールを除去するときに使用する。
- 平形ブラシは、チューブクリーナに取り付けて、ドラム内面に付着した軟質スケールなどを除去するときに使用する。
- スクレッパは、小形の清掃用手工具で、硬質スケールを除去するときは刃先の鋭いものを使用する。
ワイヤホイルは、チューブクリーナに取り付けて、外部清掃や胴内の軟泥などの清掃に使用する。
問12 ボイラーの整備の作業に使用する照明器具などに関し、次のうち誤っているものはどれか。
- 燃焼室、煙道、ドラムなどの内部で使用する照明器具は、防爆構造で、ガードを取り付けたものを使用する。
- 燃焼室、煙道、ドラムなどの内部で使用する照明器具のコンセント接続部には、漏電遮断器を取り付ける。
- 燃焼室、ドラムなどの内部で使用する照明用電源には100ボルトを使用し、移動電線はキャブタイヤケーブルなどを用いる。
- 狭い場所で使用する照明器具の配線は、できるだけ他の配線との交差や錯綜が生じないようにする。
そう - 作業場所の照明は、全般的に明暗の差が著しくなく、通常の状態でまぶしくないようにする。
燃焼室、ドラムなどの内部で使用する照明用電源には24ボルトを使用し、移動電線はキャブタイヤケーブルなどを用いる。
問13 ボイラー、配管などに使用する保温材の一般的性質として、適切でないものは次のうちどれか。
- 密度が大きいこと。
- 施工が容易なこと。
- 熱伝導率が小さいこと。
- 長期間の使用に対して変質しないこと。
- 保温施工面を腐食させないこと。
一般に密度が小さいほど保温力が大きい。
問14 ボイラーの炉壁材に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- 高アルミナ質耐火れんがは、粘土質耐火れんがより耐火度及び高温での耐荷重性が高い。
- 耐火断熱れんがは、断熱性は高いが強度が低く、耐火れんがとケーシングとの間の断熱材として用いられる。
- 普通れんがは、耐荷重性は高いが耐火度が低く、一般に、400℃以上の温度では使用できないので、外だきボイラーの築炉の外装などに用いられる。
- 不定形耐火物には、キャスタブル耐火物とプラスチック耐火物があり、いずれも耐火度及び強度が高く、成形れんがで施工しにくい箇所に用いられる。
- 耐火モルタルは普通れんがの目地に用いられ、セメントモルタルは耐火れんが及び耐火断熱れんがの目地に用いられる。
耐火モルタルは耐火れんが及び耐火断熱れんがの目地に用いられ、セメントモルタルは普通れんがの目地に用いられる。
問15 ボイラーの化学洗浄用薬品に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- 硫酸は、洗浄剤として用いられるが、カルシウムを多く含むスケールの除去には適さない。
- 水酸化ナトリウムは、中和剤として用いられるほか、潤化処理にも用いられる。
- アンモニアは、銅を多く含むスケールの洗浄剤として用いられる。
- クエン酸は、塩酸に比べてスケールの溶解力は弱いが、残留しても腐食の危険性は小さい。
- 塩酸は、広く洗浄剤として用いられ、特に、シリカ系のスケール成分に対して溶解力が強い。
塩酸は、シリカ系以外のスケール成分に対して溶解力が強い。
関係法令
問16 ボイラー(小型ボイラーを除く。)の次の部分又は設備を変更しようとするとき、法令上、所轄労働基準監督署長にボイラー変更届を提出する必要のないものはどれか。
ただし、計画届の免除認定を受けていない場合とする。
- 炉筒
- 据付基礎
- 節炭器(エコノマイザ)
- 過熱器
- 給水装置
届け出が無用なものは、水管、煙管、水処理装置、給水装置、空気予熱器の5つ。
問17 伝熱面積の算定方法に関し、法令上、誤っているものは次のうちどれか。
- 水管ボイラーの伝熱面積には、ドラム、エコノマイザ、過熱器及び空気予熱器の燃焼ガスにさらされる面の面積は算入しない。
- 貫流ボイラーは、燃焼室入口から過熱器入口までの水管の燃焼ガス等に触れる面の面積で伝熱面積を算定する。
- 立てボイラー(横管式)の横管の伝熱面積は、横管の外径側の面積で算定する。
- 鋳鉄製ボイラーのセクションのスタッドの面積は、伝熱面積に算入しない。
- 水管ボイラーの耐火れんがでおおわれた水管の伝熱面積は、管の外側の壁面に対する投影面積で算定する。
鋳鉄製ボイラーの伝熱面積には、スタッド面積も算入する。
問18 ボイラー(小型ボイラーを除く。)の附属品の管理について行わなければならない事項として、法令に定める内容と異なっているものは次のうちどれか。
- 燃焼ガスに触れる給水管、吹出管及び水面測定装置の連絡管は、耐熱材料で防護すること。
- 安全弁が1個の場合、安全弁は最高使用圧力以下で作動するように調整すること。
- 蒸気ボイラーの常用水位は、ガラス水面計又はこれに接近した位置に、現在水位と比較することができるように表示すること。
- 圧力計又は水高計の目もりには、ボイラーの常用圧力を示す位置に、見やすい表示をすること。
- 温水ボイラーの返り管については、凍結しないように保温その他の措置を講ずること。
圧力計又は水高計の目盛りには、ボイラーの最高使用圧力を示す位置に見やすい表示をすること
問19 法令上、原則としてボイラー整備士免許を受けた者でなければ整備の業務につかせてはならないものは、次のうちどれか。
- 伝熱面積が3m2の蒸気ボイラーで、胴の内径が750㎜、かつ、その長さが1,300㎜のもの
- 伝熱面積が14m2の温水ボイラー
- 伝熱面積が35m2の貫流ボイラー
- 最大電力設備容量が50kWの電気ボイラー
- 熱交換器で、内容積が5m3の第一種圧力容器
ボイラー整備士の整備業務は、小規模ボイラー以上。小規模ボイラーは以下の通り。
・胴の内径が750mm以下で、かつ、その長さが1300mm以下の蒸気ボイラー
・伝熱面積が3㎡以下の蒸気ボイラー
・伝熱面積が14㎡以下の温水ボイラー
・伝熱面積が30㎡以下の貫流ボイラー(気水分離器を有するものにあっては、当該気水分離器の内径が400mm以下で、かつ、その内容積が0.4㎥以下のものに限る。)
電気ボイラーの伝熱面積は、電力設備容量 20 kWを1m2 とみなして、その最大電力設備容量を換算した面積で算定する。
問20 鋼製蒸気ボイラー(貫流ボイラー及び小型ボイラーを除く。)の水面測定装置に関し、法令上、誤っているものは次のうちどれか。
- ボイラーには、ガラス水面計を2個以上取り付けなければならないが、遠隔指示水面測定装置を1個取り付けたものでは、そのうちの1個をガラス水面計でない水面測定装置とすることができる。
- 水柱管とボイラーを結ぶ蒸気側連絡管を、水柱管及びボイラーに取り付ける口は、水面計で見ることができる最高水位より下であってはならない。
- 最高使用圧力 1.6 M㎩を超えるボイラーの水柱管は、鋳鉄製としてはならない。
- ガラス水面計でない水面測定装置として験水コックを設ける場合には、3個以上取り付けなければならないが、胴の内径が 750㎜以下で、かつ、伝熱面積が 10m2未満のボイラーにあっては、その数を2個とすることができる。
- ガラス水面計は、そのガラス管の最下部が安全低水面を指示する位置に取り付けなければならない。
遠隔指示水面測定装置を2個取り付けたものでは、そのうちの1個をガラス水面計でない水面測定装置とすることができる。