ボイラー及び第一種圧力容器の整備の作業に関する知識
問 1 ボイラーのドラムの内側並びに煙管及び水管の水側の清浄作業に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- チューブクリーナを使用し水管を清浄する場合は、 予備調査を行い、ヘッドが水管のくびれた部分に届く直前の位置をチューブに標示しておく。
- 水管の清浄作業には、チューブクリーナを使用し、 ハンマヘッド、LGブラシなどの工具で軟質スケールを除去する。
- チューブクリーナを使用し水管を清浄する場合で、容易にスケールを除去できないときは、同一箇所にカッタを止めて一度で除去することはしない。
- 水管以外の部分の清浄作業は、主に手工具を用いて手作業で行うが、必要に応じて、電動クリーナなどの機械工具を使用する。
- 清浄作業終了後は、水洗し、除去したスケール、異物などを容器に集めて外に搬出するとともに、残留物がないことを確認する。
水管の清浄作業には、チューブクリーナを使用し、 カッタ、穂ブラシなどの工具でスケールを除去する。
ハンマヘッド、LGブラシは、チューブクリーナに取り付けて、胴内の硬質スケールを除去するときに使用する。
問 2 ボイラーの機械的清浄作業及び化学洗浄作業における危害防止の措置に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- 昇降に使用する仮設はしごは、その上部を堅く縛って固定したり、下端に滑り止めを設ける。
- ボイラーの内部や煙道内に入る場合は、入る前に酸素濃度を測定して16%以上であることを確認する。
- 他のボイラーの吹出し管や安全弁からの突然の吹出しによる危険がないか確認する。
- 酸洗浄では、発生する水素ガスを安全な場所へ放出するためのガス放出管を設ける。
- 灰出し作業では、高所の熱灰をあらかじめ落としておくとともに、余熱が少なくなってから熱灰に適宜注水を行う。
ボイラーの内部や煙道内に入る場合は、入る前に十分に換気を行うほか、必要に応じて作業中も換気を行う。
問 3 ボイラーの機械的清浄作業終了後の組立て復旧作業及び仮設設備の撤収作業に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- 弁座やフランジのすり合わせ面に傷をつけないようにする。
- 機器の取付け位置や取付け順序を誤らないように、機器の標示や合マークに注意する。
- 多数のボルトで固定するものは、一通り軽く締めた後、締付けが均一になるように時計回りに順次強く締めていく。
- 配管の接続部分に食い違いが生じた場合は、その原因を確かめ、配管を無理なく接続できるように対策を講じる。
- 足場の解体は、高所から順に行い、足場材の移動は、他の機器、装置などを損傷しないように注意して行う。
多数のボルトで固定するものは、軽く一通り締めた後、締付けが均一になるように対称の位置にあるボルトを順次締めていく。
問 4 ボイラーの性能検査における水圧試験に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- 水圧試験の準備では、フランジ形の安全弁及び逃がし弁は、取付部のフランジに遮断板を当てて塞ぐ。
- 水圧試験の準備では、水圧試験用の圧力計は、ボイラー本体に直接取り付ける。
- 水圧試験の準備では、水を張る前に空気抜き用止め弁を開き、他の止め弁を完全に閉止する。
- 水圧試験は、水圧を徐々に上げ、設定圧力のところで約1時間保持して、圧力の降下や漏れの有無を調べる。
- 水圧試験後、異状が認められない場合は、圧力をできるだけ徐々に下げる。
水圧試験は、水圧を徐々に上げ、設定圧力のところで30分以上保持して、圧力の降下や漏れの有無を調べる。
問 5 ボイラーの酸洗浄における腐食の発生及び防止に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- スケールの組成によっては、洗浄液中に溶出してる酸化性イオンの量に比例して鋼材が腐食する。
- 洗浄液の濃度に著しい差が生じると、濃淡電池を形成して、鋼材が腐食するおそれがある。
- スケール中に銅が含まれる場合には、酸で溶出した銅イオンが清浄になった鋼材表面に再び金属鋼として析出し、鋼材の腐食を促進することがある。
- 異種の金属が接触する部分に発生する電気化学的腐食を防止するため、無機酸を洗浄剤に添加する。
- 酸による腐食を防止するため、インヒビタを洗浄剤に添加する。
問 6 ボイラーの酸洗浄に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- 30~60分ごとに洗浄液の温度を測定し、液温を一定に保持する。
- 洗浄液の流速が遅いときには腐食が起こりやすいので、水管内の流速は3m/s以上とする。
- 30~60分ごとに洗浄液を採取し、酸濃度及び洗浄液中に溶出した Fe2+やFe2+の濃度を測定する。
- 洗浄は、洗浄液の酸濃度の低下傾向及び洗浄液中のFe2+やFe3+の濃度の上昇傾向がほぼなくなったら終了する。
- 洗浄後の水洗は、一般に60°C以上の温水を使用し、水洗水のpHが5以上になるまで行う。
洗浄液の流速が速くなると腐食が起こることがあるので、水管内の流速は3m/s以下とする。
問 7 ボイラーの化学洗浄における中和防錆処理に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- 中和防錆処理は、酸洗い後、金属表面が活性化されて発錆しやすい状態になるので、再び使用するまでの間の発錆や腐食を防止するために行う。
- 中和防錆処理では、中和剤としてヒドラジンなどを用い、防錆剤としてアンモニアなどを用いる。
- 薬液循環による中和防錆処理を行うときは、薬液 温度を80~100°Cに加熱昇温し、約2時間循環させる。
- 薬液循環による中和防錆処理を行うときは、薬液のpHを9~10に保持する。
- 中和防錆処理後は、必要に応じて水洗を行うが、水洗を省略する方が良い場合が多い。
正答 2
中和防錆処理では、中和剤としてヒドラジンなどを用い、防錆剤としてヒドラジンなどを用いる。
問 8 ボイラーの附属設備及び附属品の点検及び整備の要領として、誤っているものは次のうちどれか。
- 過熱器は、過熱器管及び管寄せの内部に腐食、付着物やさびの発生がないか、外面に損傷や変形がないか点検する。
- エコノマイザは、エコノマイザ管の外面及びフィンにスケールやスラッジの付着がないか点検する。
- 再生式空気予熱器は、煙道入口やマンホールを開 放して伝熱エレメント及びケーシングに腐食や付着物がないか点検する。
- ドラム内に装着された気水分離器は、取り外してボイラーの外に出し、さびなどをワイヤブラシやス クレッパを用いて除去してから、水洗や圧縮空気によって清掃する。
- 減圧弁は、定期的に点検し、弁体と弁座の当たり 面に損傷があればコンパウンドですり合わせる。
エコノマイザ管の外面及びフィンに、損傷やすすなどの付着がないか点検する。
問 9 燃料遮断弁に使用される電磁弁の点検及び整備の要領として、誤っているものは次のうちどれか。
- 電磁弁のコイルに通電したときの作動音によって、異常がないか点検する。
- 交流駆動コイルの電磁弁は、動作時のうなりが大きくないか点検する。
- 分解できるプランジャや弁ディスクは、分解して摩耗粉などを清掃する。
- ガス弁は、出口側のガスを大気中に放出して弁越し漏れがないか点検する。
- 電磁弁を配管に取り付けたときは、燃料の流れる方向と弁に表示された方向が一致していることを確認する。
ガス弁は、出口側のガスを水中に放出して弁越し漏れがないか点検する。
問10 重油燃焼装置の油圧噴霧式オイルバーナ及び油タンクの点検及び整備の要領として、誤っているものは次 のうちどれか。
- 燃焼停止時に、バーナガンを取り外し、ノズル先端が熱いうちに洗い油につける。
- バーナのノズルは、縁にきずがあるときや縁が摩耗して丸みを帯びているときには交換する。
- 油タンクを清掃するときは、残油を全部抜き取り、油タンクの底部にたまっているスラッジを界面活性剤で溶かしてポンプでくみ取る。
- 油タンクの内部に入るときは、換気を十分に行い、防じんマスクを使用する。
- 油タンクの内部の点検及び整備作業は、一人だけでは行わず必ず二人以上で行う。
油タンクの内部に入るときは、換気を十分に行い、送気マスクを使用する。
ボイラー及び第一種圧力容器の整備の作業に使用する器材、 薬品等に関する知識
問11 ボイラーの機械的清浄作業に使用するチューブクリーナに取り付ける工具に関し、次のうち誤っているも のはどれか。
- ワイヤホイルは、外部清掃や胴内の軟泥などの清掃に使用する。
- カッタヘッドは、主として曲管や過熱器管の硬質スケールを除去するときに使用する。
- 細管用カッタは、細い直管や細いゆるやかな曲管 このスケールを除去するときに使用する。
- 穂ブラシは、軟質スケールを除去するときに使用する。
- 平形ブラシは、ドラム内面に付着した軟質スケールなどを除去するときに使用する。
問12 ボイラーの整備の作業に使用する照明器具に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- 燃焼室や煙道の内部では、防爆構造で、ガードを取り付けた照明器具を使用する。
- 燃焼室やドラムの内部で使用する照明器具のコンセント接続部には、漏電遮断器を取り付ける。
- 燃焼室やドラムの内部では、移動電線として絶縁性の高いキャブタイヤケーブルを使用する。
- コードリールに巻いたコードを長時間使用するときは、コードリールに巻いたままとせずに延ばして使用する。
- 作業場所の照明は、作業面を局部的に明るくすることにより全体の明暗の差を大きくする。
作業場所の照明は、電圧を24ボルトとし、作業面を全般的に明暗の差が著しくなく、通常の状態でまぶしくないようにする。
問13 ボイラーの炉壁材に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- 不定形耐火物は、任意の形状に施工することができ、また、継目無しの1枚壁を作ることができる。
- プラスチック耐火物は、適当な粒度としたシャモット質などの耐火材料の骨材にバインダとしてアルミナセメントを配合した粉状のものである。
- プラスチック耐火物は、燃焼室内壁など高熱火炎にさらされる箇所に多く用いられる。
- キャスタブル耐火物は、水を加えて練り、型枠内に流し込み成形するか、ラスなどにこて塗りや吹き 付けを行って壁を作る。
- キャスタブル耐火物は、湿気を吸わせないようにして保存する。
キャスタブル耐火物は、適当な粒度としたシャモット質などの耐火材料の骨材にバインダーとしてアルミナセメントを配合したものである。
問14 ガスケット及びパッキンに関し、次のうち誤っているものはどれか。
- パッキンはポンプのような運動部分の密封に用いられ、ガスケットはフランジのような静止部分の密封に用いられる。
- ゴムガスケットは、合成ゴムを成形したもので、100°C程度までの温水に用いられる。
- オイルシートは、紙、ゼラチンなどを加工したもので、100°C以下の油に用いられる。
- 金属ガスケットは、高温高圧の蒸気やガスに用いられる。
- パッキンには、編組パッキン、モールドパッキン、メタルパッキンなどがある。
ゴムガスケットは、合成ゴムを成形したもので、常温水に用いられる。
問15 ボイラーの化学洗浄用薬品に関し、次のうち誤っているものはどれか。
- 硫酸は、洗浄剤として用いられるが、カルシウムを多く含むスケールの除去には適さない。
- アンモニアは、銅を多く含むスケールの洗浄剤として用いられる。
- 水酸化ナトリウムは、中和剤として用いられるほか、潤化処理にも用いられる。
- クエン酸は、構造上洗浄液の完全排出が困難なボイラーの洗浄剤や簡易洗浄剤として用いられる。
- 塩酸は、広く洗浄剤として用いられ、特に、シリカ系のスケール成分に対して溶解力が強い。
塩酸は、広く洗浄剤として用いられ、特に、シリカ系以外のスケール成分に対して溶解力が強い。
関係法令
問16 ボイラー(小型ボイラーを除く。)の検査及び検査証に関し、法令上、誤っているものは次のうちどれか。
- 落成検査は、構造検査又は使用検査に合格した後でなければ受けることができない。
- 落成検査に合格したボイラー又は所轄労働基準監督署長が落成検査の必要がないと認めたボイラーについては、ボイラー検査証が交付される。
- ボイラー検査証の有効期間は、原則として1年であるが、性能検査の結果により1年未満又は1年を超え2年以内の期間を定めて更新される。
- 落成検査を受ける者は、水圧試験の準備をしておかなければならない。
- 性能検査を受ける者は、検査に立ち会わなければならない。
問17 ボイラー(小型ボイラーを除く。)の次の部分又は設備を変更しようとするとき、法令上、所轄労働基準監 督署長にボイラー変更届を提出する必要のないものはどれか。
ただし、計画届の免除認定を受けていない場合とする。
- 炉筒
- 据付基礎
- 節炭器(エコノマイザ)
- 過熱器
- 給水装置
問18 ボイラー(小型ボイラーを除く。)の定期自主検査に関し、法令上、誤っているものは次のうちどれか。
- 定期自主検査は、1か月をこえる期間使用しない場合を除き、1か月以内ごとに1回、定期に、行わなければならない。
- 定期自主検査は、大きく分けて、「ボイラー本体」、「燃焼装置」、「自動制御装置」及び「附属装置及び附属品」の4項目について行わなければならない。
- 「自動制御装置」の電気配線については、損傷の有無及び作動の状況について点検しなければならない。
- 「附属装置及び附属品」の空気予熱器については、損傷の有無について点検しなければならない。
- 定期自主検査を行ったときは、その結果を記録し、これを3年間保存しなければならない。
「自動制御装置」の電気配線については、端子の異常の有無について点検しなければならない。
問19 法令上、原則としてボイラー整備士免許を受けた者でなければ整備の業務につかせてはならないものは、 次のうちどれか。
- 伝熱面積が 3 m2の蒸気ボイラーで、胴の内径が750mm、かつ、その長さが1,300mmのもの
- 伝熱面積が14m2の温水ボイラー
- 内径が400 mmで、かつ、その内容積が0.4m3の気水分離器を有する伝熱面積が30m2の貫流ボイラー
- 最大電力設備容量が60kWの電気ボイラー
- 熱交換器で、内容積が 9m2の第一種圧力容器
問20 鋼製蒸気ボイラー(貫流ボイラー及び小型ボイラーを除く。)の水面測定装置に関し、法令上、誤っているも のは次のうちどれか。
- ボイラーには、ガラス水面計を2個以上取り付けなければならないが、胴の内径が750mm以下のもの 及び遠隔指示水面測定装置を2個取り付けたものでは、そのうち1個をガラス水面計でない水面測定装置とすることができる。
- 水柱管とボイラーを結ぶ蒸気側連絡管を、水柱管及びボイラーに取り付ける口は、水面計で見ることができる最高水位より下でなければならない。
- 最高使用圧力1.6MPaを超えるボイラーの水柱管は、鋳鉄製としてはならない。
- ガラス水面計でない水面測定装置として験水コックを設ける場合には、3個以上取り付けなければならないが、胴の内径が750mm以下で、かつ、伝熱面 積が10m2未満のボイラーでは、2個とすることができる。
- ガラス水面計は、そのガラス管の最下部が安全低水面を指示する位置に取り付けなければならない。