ボイラー整備士免許試験:令和2年4月公表問題(令和元年7月~令和元年12月実施分)

ボイラー及び第一種圧力容器の整備の作業に関する知識

問 1 ボイラーの機械的清浄作業及び化学洗浄作業における危害防止の措置に関し、次のうち誤っているものはどれか。

  1. 昇降に使用する仮設はしごは、その上部を堅く縛って固定したり、下端に滑り止めを設ける。
  2. ボイラーの内部や煙道内に入る場合は、入る前に、必要に応じて換気装置を使用して換気し、換気が完全であることを確認する。
  3. 他のボイラーの吹出し管や安全弁からの突然の吹出しによる危険がないか確認する。
  4. 酸洗浄によって、主として一酸化炭素が発生するが、このガスを安全な場所へ放出するためのガス放出管を設ける。
  5. 灰出し作業では、高所の熱灰をあらかじめ落としておくとともに、余熱が少なくなってから適宜注水を行う。
正答 4
酸洗浄によって、主として水素ガスが発生するが、このガスを安全な場所へ放出するためのガス放出管を設ける。

問 2 ボイラーの燃焼室内部並びに煙管及び水管の高温ガス側の清浄作業に関するAからDまでの記述で、正しいもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。

  1. 清浄作業では、火炎の放射熱にさらされる燃焼室内の伝熱面を清浄にすることが最も重要とされている。
  2. 燃焼室内部の伝熱面に付着しているすすや未燃油は、チューブクリーナを使用して除去する。
  3. 接近することができない水管に付着しているすすや未燃油は、長い棒の先端に取り付けたワイヤブラシで除去するか、圧縮空気を吹き付けて除去する。
  4. スチームソーキングを行う場合は、余熱が冷めた後に、付着物に乾き蒸気を吹き付けてから、ワイヤブラシで除去するか、圧縮空気を吹きつけて除去する。
  1. A,B,C
  2. A,C
  3. A,C,D
  4. B,C
  5. B,D
正答 2
B.燃焼室内部の伝熱面に付着しているすすや未燃油は、手工具を使用して除去する。
C.スチームソーキングを行う場合は、余熱があるうちに、付着物に乾き蒸気を吹き付けてから、ワイヤブラシで除去するか、圧縮空気を吹きつけて除去する。

問 3 次のA~Eで、ボイラーの燃焼室内部並びに煙管及び水管の高温ガス側の清浄作業において除去する対象物に該当するものとして、正しいもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。

  1. すす
  2. ダスト
  3. スケール
  4. クリンカ
  5. シリカ
  1. A,B,C
  2. A,B,D
  3. A,B,E
  4. B,C,D
  5. C,D,E
正答 2
すす、ダスト、クリンカ

問 4 ボイラーの機械的清浄作業におけるボイラーの開放及び開放後の点検に関し、次のうち誤っているものはどれか。

  1. マンホール、掃除穴などの蓋を外すときは、圧力計の指示がゼロになっていても残圧に注意する。
  2. マンホール、掃除穴などの蓋が内蓋式の場合には、これらを取り外すときに、内部に落とし込まないようにする。
  3. 炉内や煙道各部が十分冷却されていることを確認してから中へ入り、すすの付着状況、灰の堆積状況などを観察する。
  4. 清浄作業を行うときに、異物を落とし込んで閉塞するおそれがある胴の吹出し穴、水管などの部分は、布や木栓で塞いだり、シートなどで覆う。
  5. 胴内の装着物は、一般に給水内管を除き、取り外して胴の外へ運び出す。
正答 5
給水内管、仕切板、気水分離器などの胴内部の装着物は、全て取り外し胴の外へ運び出す

問 5 ボイラーの化学洗浄作業においてスケール及び腐食の状況を推測するための調査事項に該当しないものは次のうちどれか。

  1. 清缶剤の種類、使用量及び注入方法
  2. 吹出し量及び吹出し方法
  3. 給水量及び復水の回収率
  4. 燃料の種類及び使用量
  5. 油加熱器の加熱方式

正答 5
化学洗浄作業においてスケール及び腐食の状況を推測するための調査事項に該当するのは、
・清缶剤の種類、使用量及び注入方法
・吹出し量及び吹出しの方法
・給水量及び復水の回収率
・燃料の種類及び使用量
・蒸気加熱器の加熱方式及び加熱温度

 

問 6 ボイラーの酸洗浄における腐食の発生及び防止に関し、次のうち誤っているものはどれか。

  1. スケールの組成によっては、洗浄液中に溶出してくる酸化性イオンの量に比例して鋼材が腐食する。
  2. 洗浄液の濃度に著しい差が生じると、濃淡電池を形成して、鋼材が腐食するおそれがある。
  3. スケール中に銅が含まれる場合には、酸で溶出した銅イオンが清浄になった鋼材表面に再び金属銅として析出し、鋼材の腐食を促進することがある。
  4. 異種の金属が接触する部分に発生する電気化学的腐食を防止するため、 洗浄時間の短縮、 洗浄液の循環系統にバイパスの設置などの措置を講じる。
  5. 著しい温度差による腐食を防止するため、界面活性剤を洗浄剤に添加する。
正答 5
著しい温度差による腐食を防止するため、30分〜1時間ごとに洗浄液の温度を測定し、液温を一定に保持する。

 

問 7 ボイラーの酸洗浄後の水洗に関し、次のうち誤っているものはどれか。

  1. 水洗は、一般に60℃以上の温水を使用する。
  2. 水洗は、水洗水がpH5以上となるまで行う。
  3. 発錆を防止するため窒素置換を行うときは、水洗水に脱酸素剤を添加する。
  4. 洗浄液が行き止まりとなる部分にバイパス弁やドレン弁が設けられているときは、これらの弁を閉止して水洗を行う。
  5. 洗浄作業中に使用していた弁は、水洗のとき、パッキングランドを緩めてパッキン部にしみ込んだ洗浄液を洗い流す。

正答 4
洗浄液が行き止まりとなる部分にバイパス弁やドレン弁が設けられているときは、これらの弁を開放して水洗を行う。

 

問 8 ブルドン管圧力計の点検及び整備の要領として、適切でないものは次のうちどれか。

  1. 圧力計を取り外すときは、コックの部分をしっかり持って、圧力計の首部のナットをレンチでゆるめる。
  2. 圧力計を軽く指先でたたいても指針が狂わず、また、抜け出すことがないことを確かめる。
  3. 文字板やガラスに汚れがあるときは、ガラスを取り外して、汚れを拭きとる。
  4. 圧力計やサイホン管を取り付けるときは、シールテープなどが内側にはみ出さないようにする。
  5. 圧力計は、検査済みのものを予備品として用意しておき、その取替えは圧力計が故障したときに行う。
正答 5
圧力計は故障してから取り替えるのではなく、一定の使用期間を定めて、定期的に取り替えます。

問 9 ボイラーの附属設備及び附属品の点検及び整備の要領として、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 過熱器は、過熱器管が貫通する部分の耐火材及びバッフルに損傷、割れや脱落がないか点検する。
  2. エコノマイザは、エコノマイザ管が貫通する部分及びバッフルに損傷や割れがないか点検する。
  3. 再生式空気予熱器は、電動モータ駆動で伝熱エレメントを回転させながらしゅう動調整板のすき間を調整する。
  4. ドラム内に装着された気水分離器は、取り外してボイラーの外に出し、さびなどをワイヤブラシやスクレッパを用いて除去してから、水や圧縮空気によって清掃する。
  5. 減圧弁は、定期的に点検し、弁体と弁座の当たり面に損傷があればコンパウンドで擦り合わせる。
正答 3

問10 サイホン管を含めたオンオフ式蒸気圧力調節器の点検及び整備の要領として、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 圧力調節器、コック及びサイホン管を取り外す。
  2. サイホン管の内部は、圧力のある水又は空気を通して掃除する。
  3. コックは分解せずに、内部を圧力のある水又は空気を通して掃除する。
  4. 圧力調節器のベローズに亀裂や漏れがないか点検する。
  5. マイクロスイッチは、レバーの曲がりの有無及び取付け状態を点検する。
正答 3
コックは分解・整備する。
正答 3

ボイラー及び第一種圧力容器の整備の作業に使用する器材、薬品等に関する知識

問11 ボイラーの機械的清浄作業に使用する機械、器具及び工具に関し、次のうち誤っているものはどれか。

  1. チューブクリーナは、胴内や水管内部のスケールやさびの除去に使用する機械で、本体、フレキシブルシャフト及びヘッドにより構成されている。
  2. ハンマヘッドは、チューブクリーナに取り付けて、胴内の硬質スケールを除去するときに使用する。
  3. ワイヤホイルは、チューブクリーナに取り付けて、外部清掃や胴内の軟泥などを除去するときに使用する。
  4. 穂ブラシは、チューブクリーナに取り付けて、水管内部の硬質スケールを除去するときに使用する。
  5. ワイヤブラシは、清掃用手工具で、胴内、煙管内部及び機械・器具による清浄作業ができない部分に使用する。
正答 4
穂ブラシは、チューブクリーナに取り付けて、軟質スケールを除去するときに使用する。

問12 ボイラーの整備の作業に使用する照明器具などに関し、次のうち適切でないものはどれか。

  1. 燃焼室、煙道、ドラムなどの内部で使用する照明器具は、防爆構造で、ガ ードを取り付けたものを使用する。
  2. 燃焼室、煙道、ドラムなどの内部で使用する照明器具のコンセント接続部には、漏電遮断器を取り付ける。
  3. 燃焼室、ドラムなどの内部で使用する照明用電源は100ボルトを使用し、移動電線にはキャブタイヤケーブルなどを使用する。
  4. コードリールに巻いたコードを長時間使用するときは、コードリールに巻いたままとせずに延ばして使用する。
  5. 作業場所の照明は、全般的に明暗の差が著しくなく、通常の状態でまぶしくないようにする。
正答 3
燃焼室、ドラムなどの内部で使用する照明用電源は24ボルトを使用し、移動電線にはキャブタイヤケーブルなどを使用する。

問13 ガスケット及びパッキンに関し、次のうち誤っているものはどれか。

  1. パッキンはポンプのような運動部分の密封に用いられ、ガスケットはフランジのような静止部分の密封に用いられる。
  2. ゴムガスケットは、合成ゴムを成形したもので、100℃程度までの温水に用いられる。
  3. オイルシートは、紙、ゼラチンなどを加工したもので、100℃以下の油に用いられる。
  4. メタルジャケット形ガスケットは、高温の蒸気やガスに用いられる。
  5. パッキンには、編組パッキン、モールドパッキン、メタルパッキンなどがある。
正答 2
ゴムガスケットは、常温の水に用いられる

問14 ボイラーの炉壁材に関し、次のうち誤っているものはどれか。

  1. 不定形耐火物は、任意の形状に施工することができ、また、継目無しの1枚壁を作ることができる。
  2. プラスチック耐火物は、適当な粒度としたシャモット質などの耐火材料の骨材と粘土などのバインダを練り合わせ、練り土状としたものである。
  3. キャスタブル耐火物は、高熱火炎にさらされない箇所に多く用いられる。
  4. プラスチック耐火物には、ハンマやランマーでたたき込んで壁を作る方法がある。
  5. キャスタブル耐火物は、乾燥しないようにして保存する。
正答 5
キャスタブル耐火物は、湿気を吸わせないように保存する

問15 ボイラーの化学洗浄用機器及び化学洗浄用薬品に関するAからDまでの記述で、正しいもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。

  1. 薬液用タンクは、洗浄に必要な薬液の調合又は貯蔵のために用いられるもので、その容量は洗浄を行うボイラーの水容量の1/2程度とする。
  2. 薬液用ポンプは、薬液の供給及び循環のために用いられるもので、一般に洗浄を行うボイラーを30~60分以内に満水にできる程度の容量を標準とする。
  3. クエン酸は、構造上洗浄液の完全排出が困難なボイラーの洗浄剤や簡易洗浄剤として用いられる。
  4. 塩酸は、広く洗浄剤として用いられ、特に、シリカ系のスケール成分に対して溶解力が強い。
  1. A,B
  2. A,B,C
  3. A,D
  4. B,C
  5. B,C,D
正答 4
A.容量は洗浄を行うボイラーの水容量の1/10程度とする。
D.塩酸は、シリカ系以外のスケールに対して溶解力が強い。

関係法令

問16 ボイラー(小型ボイラーを除く。)の検査及び検査証に関し、法令上、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 落成検査は、構造検査又は使用検査に合格した後でなければ受けることができない。
  2. 落成検査に合格したボイラー又は所轄労働基準監督署長が落成検査の必要がないと認めたボイラーについては、ボイラー検査証が交付される。
  3. ボイラー検査証の有効期間は、原則として1年であるが、性能検査の結果により1年未満又は1年を超え2年以内の期間を定めて更新される。
  4. 使用を廃止したボイラーを再び設置しようとする者は、使用再開検査を受けなければならない。
  5. 性能検査を受ける者は、検査に立ち会わなければならない。
正答 4
使用を廃止したボイラーを再び設置しようとする者は、使用検査を受けなければならない。
「休止ボイラー」は、「使用再開検査」です。

問17 伝熱面積の算定方法に関し、法令上、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 水管ボイラーの伝熱面積には、ドラム、エコノマイザ、過熱器及び空気予熱器の燃焼ガスにさらされる面の面積は算入しない。
  2. 貫流ボイラーは、燃焼室入口から過熱器出口までの水管の燃焼ガス等に触れる面の面積で伝熱面積を算定する。
  3. 立てボイラー(横管式)の横管の伝熱面積は、横管の外径側の面積で算定する。
  4. 鋳鉄製ボイラーの伝熱面積には、燃焼ガス等に触れるセクションのスタッドも、所定の算式で算定した面積を算入する。
  5. 煙管ボイラーの煙管の伝熱面積は、煙管の内径側の面積で算定する。
正答 2
貫流ボイラーは、燃焼室入口から過熱器入口までの水管の燃焼ガス等に触れる面の面積で伝熱面積を算定する。

 

問18 ボイラー(移動式ボイラー、屋外式ボイラー及び小型ボイラーを除く。)を設置するボイラー室等に関し、法令上、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 伝熱面積が3m2 をこえるボイラーは、ボイラー室に設置しなければならない。
  2. ボイラーを取り扱う労働者が緊急の場合に避難するのに支障がないボイラー室を除き、ボイラー室には、2以上の出入口を設けなければならない。
  3. 胴の内径が500㎜以下で、かつ、長さが1000㎜以下の立てボイラーは、ボイラーの外壁から壁その他のボイラーの側部にある構造物(検査及び掃除に支障のない物を除く。)までの距離を0.3m以上としなければならない。
  4. ボイラー室に液体燃料を貯蔵するときは、ボイラーと燃料タンクとの間に適当な障壁を設ける等、防火のための措置を講じたときを除き、燃料タンクをボイラーの外側から1.2m以上離しておかなければならない。
  5. ボイラー室には、水面計のガラス管、ガスケットその他の必要な予備品及び修繕用工具類を備えておかなければならない。
正答 4
防火のための措置を講じたときを除き、燃料タンクをボイラーの外側から2m以上離しておかなければならない。
1.のボイラー室に設置しなければならないのは、3m2を超えるボイラーで、3m2以下ならボイラー室に設置しなくても良い。

 

問19 ボイラー(小型ボイラーを除く。)の附属品の管理について行わなければならない事項として、法令上、定められていない内容のものは次のうちどれか。

  1. 過熱器用安全弁は、胴の安全弁より先に作動するように調整すること。
  2. 安全弁が1個の場合、安全弁は最高使用圧力以下で作動するように調整すること。
  3. 蒸気ボイラーの常用水位は、ガラス水面計又はこれに接近した位置に、現在水位と比較することができるように表示すること。
  4. 圧力計又は水高計の目もりには、ボイラーの最高使用圧力を示す位置に、見やすい表示をすること。
  5. 温水ボイラーの返り管については、耐熱材料で防護すること。
正答 5
温水ボイラーの返り管は、凍結しないように保温その他の措置を講ずること。

 

問20 鋳鉄製ボイラー(小型ボイラーを除く。)に関し、法令上、定められていないものは次のうちどれか。

  1. ガラス水面計でない他の水面測定装置として験水コックを設ける場合は、ガラス水面計のガラス管取付位置と同等の高さの範囲において3個以上取り付けなければならない。
  2. 温水ボイラーで圧力が0.3MPaを超えるものには、温水温度が120℃を超えないように温水温度自動制御装置を設けなければならない。
  3. 温水ボイラーには、ボイラーの本体又は温水の出口付近に水高計又は圧力計を取り付けなければならない。
  4. 給水が、水道その他圧力を有する水源から供給される場合には、この水源からの管を返り管に取り付けなければならない。
  5. 蒸気ボイラーに取り付ける圧力計の目盛盤の最大指度は、最高使用圧力の1.5倍以上3倍以下の圧力を示す指度としなければならない
正答 1
ガラス水面計でない他の水面測定装置として験水コックを設ける場合は、ガラス水面計のガラス管取付位置と同等の高さの範囲において2個以上取り付けなければならない。
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