第一種衛生管理者免許試験(平成28年後期開催)No.11~20〔労働衛生(有害業務に係るもの)〕

平成28年後期、7月~12月に開催した第一種衛生管理者免許試験、労働衛生(有害業務に係るもの)の問題です。

平成28年後期-問11
次の化学物質のうち、常温・常圧(25℃、1気圧)の空気中で蒸気として存在するものはどれか。
ただし、蒸気とは、常温・常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体となっているものをいうものとする。

  1. 塩素
  2. ジクロロベンジジン
  3. アンモニア
  4. クロム酸
  5. アセトン

平成28年後期-問12
有機溶剤に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 有機溶剤は、水溶性と脂溶性をともに有し、その蒸気は空気より軽い。
  2. 有機溶剤は、揮発性が高いため呼吸器から吸収されやすいが、皮膚から吸収されることはない。
  3. キシレンのばく露の生物学的モニタリングの指標としての尿中代謝物は、馬尿酸である。
  4. メタノールによる健康障害として顕著なものは、網膜細動脈瘤を伴う脳血管障害である。
  5. 低濃度の有機溶剤の繰り返しばく露では、頭痛、めまい、記憶力減退、不眠などの不定愁訴がみられる。

平成28年後期-問13
作業環境における騒音及びそれによる健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 人が聴くことのできる音の周波数は10Hzから30,000Hz程度までで、会話音域は2,000Hzから4,000Hzまでである。
  2. 騒音性難聴では、通常の会話音より低い音から聞こえにくくなる。
  3. 騒音性難聴は、音を神経に伝達する内耳の蝸牛の中の有毛細胞が変性することにより起こる。
  4. 等価騒音レベルは、中心周波数500Hz、1,000Hz、2,000Hz及び4,000Hzの各オクターブバンドの騒音レベルの平均値で、変動する騒音に対する人間の生理・心理的反応とよく対応する。
  5. 騒音は、自律神経系や内分泌系へも影響を与えるため、騒音ばく露により、ストレス反応である副腎皮質ホルモンの分泌の減少が認められる。

平成28年後期-問14
作業環境における有害因子による健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 電離放射線の被ばくによる発がんと遺伝的影響は、確率的影響に分類され、発生する確率が被ばく線量の増加に応じて増加する。
  2. 熱虚脱は、暑熱環境下で脳へ供給される血液量が増加したとき、代償的に心拍数が減少することにより生じ、発熱、除脈、めまいなどの症状がみられる。
  3. 金属熱は、金属の溶融作業において、高温環境により体温調節中枢が麻痺することにより発生し、長期間にわたる発熱、関節痛などの症状がみられる。
  4. 凍瘡は、皮膚組織の凍結壊死を伴うしもやけのことで、0℃以下の寒冷にばく露することによって発生する。
  5. 潜水業務における減圧症は、浮上による減圧に伴い、血液中に溶け込んでいた酸素が気泡となり、血管を閉塞したり組織を圧迫することにより発生する。

平成28年後期-問15
化学物質による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 一酸化炭素による中毒では、ヘモグロビン合成の障害による貧血、溶血などがみられる。
  2. シアン化水素による中毒では、細胞内での酸素利用の障害による呼吸困難、痙攣などがみられる。
  3. 硫化水素による中毒では、意識消失、呼吸麻痺などがみられる。
  4. 二酸化硫黄による慢性中毒では、慢性気管支炎、歯牙酸蝕症などがみられる。
  5. 弗化水素による慢性中毒では、骨の硬化、斑状歯などがみられる。

平成28年後期-問16
労働衛生保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 防毒マスクは、顔面と面体の接顔部とが適切な位置で密着するように装着し、しめひもについては、耳にかけることなく後頭部において固定する。
  2. 防じんマスクの面体の接顔部に接顔メリヤスを使用すると、マスクと顔面の密着性が良くなる。
  3. 騒音作業における防音保護具として、耳覆い(イヤーマフ)と耳栓のどちらを選ぶかは、作業の性質や騒音の特性で決まるが、非常に強烈な騒音に対しては両者の併用も有効である。
  4. 保護クリームは、作業中に有害な物質が直接皮膚に付着しないようにする目的で塗布するものである。
  5. 遮光保護具は、溶接作業における紫外線などによる眼の障害を防ぐために使用する。

平成28年後期-問17
厚生労働省の「作業環境測定基準」及び「作業環境評価基準」に基づく作業環境測定及びその結果に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 管理濃度は、有害物質に関する作業環境の状態を単位作業場所の作業環境測定結果から評価するための指標である。
  2. A測定は、単位作業場所における有害物質の気中濃度の平均的な分布を知るために行う測定である。
  3. A測定の第二評価値が管理濃度を超えている単位作業場所の管理区分は、B測定の結果に関係なく第三管理区分となる。
  4. B測定は、単位作業場所中の有害物質の発散源から遠い場所で作業が行われる場合等において、作業者の位置における有害物質の濃度を知るために行う測定である。
  5. B測定の測定値が管理濃度の1.5倍を超えている単位作業場所の管理区分は、A測定の結果に関係なく第三管理区分となる。

平成28年後期-問18
局所排気装置の基本的な構成に関する次の文中の[  ]内に入れるAからCの語句の組合せとして、正しいものは1~5のうちどれか。

「局所排気装置は、有害物質の発生源の近くにフードを設けて定常的な吸引気流をつくり、有害物が拡散する前に吸引除去するものであり、空気清浄装置を付設した場合の基本的な構成は、発生源の側から順に次のとおりである。
フード→吸引ダクト(枝ダクト→主ダクト)→[ A ]→[ B ]→[ C ]→排気口」

  1. A=ファン B=空気清浄装置 C=排気ダクト
  2. A=排気ダクト B=空気清浄装置 C=ファン
  3. A=排気ダクト B=ファン C=空気清浄装置
  4. A=ファン B=排気ダクト C=空気清浄装置
  5. A=空気清浄装置 B=ファン C=排気ダクト

平成28年後期-問19
特殊健康診断に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 有害業務への配置替えの際に行う特殊健康診断には、業務適性の判断と、その後の業務の影響を調べるための基礎資料を得るという目的がある。
  2. 有害物質による健康障害は、多くの場合、諸検査の異常などの他覚的所見より自覚症状が先に出現するため、特殊健康診断では問診の重要性が高い。
  3. 特殊健康診断では、対象とする特定の健康障害と類似の他の疾患との判別が、一般健康診断よりも一層強く求められる。
  4. 特殊健康診断において適切な検診デザインを行うためには、作業内容と有害因子へのばく露状況を把握する必要がある。
  5. 有機溶剤は、生物学的半減期が短いので、有機溶剤等健康診断における尿中の代謝物の量の検査のための採尿の時刻は、厳重にチェックする必要がある。

平成28年後期-問20
化学物質等のリスクアセスメントに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. リスクアセスメントの基本的手順のうち最初に実施するのは、労働者の就業に係る化学物質等による危険性又は有害性を特定することである。
  2. ハザードは、労働災害発生の可能性と負傷又は疾病の重大性(重篤度)の組合せであると定義される。
  3. 化学物質等による疾病のリスク低減措置の検討では、化学物質等の有害性に応じた有効な保護具の使用よりも局所排気装置の設置等の工学的対策を優先する。
  4. 化学物質等による疾病のリスク低減措置の検討では、法令に定められた事項を除けば、危険性又は有害性のより低い物質への代替等を最優先する。
  5. 新たに化学物質等の譲渡又は提供を受ける場合には、その化学物質を譲渡し、又は提供する者から、その化学物質等のSDS(安全データシート)を入手する。
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